ファシストがなぜ日本の総理になったのか: ずくなしの冷や水

2015年07月21日

ファシストがなぜ日本の総理になったのか

2015/7/19、NHK日曜討論における山本太郎氏の発言が反響を呼んでいます。

※ サハ208-78 @6DOORS氏の2015/7/19のツイート
NHK日曜討論 生出演ではなかったが、山本太郎氏出演。戦争法案、武器輸出解禁について、経団連の思惑を安倍が実現したと暴露。日本の軍事企業と安倍政権の蜜月関係を国民に知らせた功績は大きい。よくやった。

※  太田隆文(映画監督) @kiriyama99氏の2015/7/19のツイート
NHK「日曜討論」に山本太郎議員が出演。「安保法案は国民のためではなく、経団連の武器産業のため」戦争に参加することで戦車や戦闘機を作り、大儲けしようという企業。安部総理が選挙のとき応援してもらったそれら企業への恩返しが「安保法案」と説明。誰も言えない事実を説明。さすがです!

筆者は、山本太郎氏や上に引用したツイート主と同じ考えですが、なぜ今「経団連の武器産業のため」に政権ががむしゃらになっているのでしょう。

筆者は、日本の重電・機械メーカーに将来の事業展望がなくなっているからだと考えています。今のままではジリ貧という企業サイドの危機感がアベという人間を操って戦争への道を拓いていると考えます。

まず、日本の重電メーカーは、将来的な戦略分野として原発を柱に据えましたが、これが福島第一原発事故によって完全に見込み違いになりました。

東芝はウエスチングハウスの株式を取得し、日立はGEとの提携により原子力事業の新会社を設立、さらに英国の原子力発電事業会社、ホライズン・ニュークリア・パワーを買収しています。三菱もアルストムの買収交渉を行いました。

日立は2014/6の株主総会で「福島原発事故以降、原発事業の規模は3分の2となり、昨年度は1,100億円規模となっている」と答えています。

福島第一原発事故の収束作業は進んでいません。毎日6千人もの作業員を投入しても汚染水が溢れ、溶融燃料の所在すら不明という状況が続いており、原発事故の恐ろしさは海外メディアを通じて世界に発信されています。対応が遅れれば遅れるほど信用を失っていきます。

汚染水浄化施設は期待通りには働かず、次々に投入されるロボットはいずれも立ち往生で帰還不能。日本の原発メーカーの技術力への信用は地に落ちました。

日本の重電メーカーは、民生品の分野では劣勢が続いています。東芝はノートパソコンで中国メーカーに敗北、日立はハードディスクの品質を安定させられず事業売却。もはや民生品で大所帯を維持することは困難です。

特注の原子力関連機器でも、三菱は米国原発の熱交換器の製造に不備があり巨額の損害賠償請求を受けていますし、東芝は、プラント関連で大きな損失を計上しています。

当面は蓄積を取り崩すことで危機を凌ぐでしょうが、日立はリストラの過程で国内不動産の多くを売却しました。

この先、どの事業分野で企業価値の存続を図るかと考えれば、米国企業が大儲けしている武器に目をつけるのは、当然の成り行きと言えるでしょう。

もともと三菱などは自衛隊の使用する航空機などのノックダウン生産を古くから行っています。銃を製造している企業もあります。劣化ウラン弾を作っているのではないかと疑われる企業もあります。

武器輸出の制限がはずれましたから、これらの軍需関係企業の企業活動の範囲は大きく広がりました。ですが、品質の要求水準が飛びぬけて高い武器については、開発に費用も時間もかかります。

開発された武器も現場で使用された実績が無ければ、売り込みは難しいでしょう。

それらの点をクリアするためには、なんとしても日本の軍隊に買い上げてもらい、開発費用を回収するとともに使用実績を積み重ねる必要があります。その上で輸出とならざるを得ないでしょう。

そもそも、軍事産業の市場そのものが縮小傾向にあります。国防費を増やしている国、国防費の多い国は自国か同盟国から武器を調達しています。日本の武器をロシアや中国が買うことはないでしょう。

となれば、軍需産業の市場確保のためには、自衛隊が海外の戦争に出て行く、そのための武器を日本企業が供給するということが最も確実です。

福島第一原発事故の経過を追っていて筆者は自分の無知を知ることが多かったのですが、中でも新しい発見は、日本人は他人あるいは自分が死ぬことについてとてもクールな見方をしているということです。

支配層が一般の国民の命など虫けら同然に考えていて、それが自分の利益になる間は生かしておく配慮をしてもいいが、必要がなくなれば生存確保のための措置はどんどん切り捨てていくという考えであることは知っていました。

一般国民のセーフティネットが次々に剥ぎ取られていくのはその現れであり、そういう時期に来たと思うだけですが、そのことについてとても支配層に属するとは見えない人達まで喝采するのには驚きます。

激しい放射能汚染の中で被曝回避など面倒だから、見せ掛けの生活水準を落とさず、生活パターンが維持できれば、早死にしてもかまわないと言う人も読者の中にはおられます。

被曝回避の助言を受けても、「放射能ごときであなたのように人生設計を簡単に変えられるような生き方はしていない」と逆切れする人もいます。人生設計を変えることと命を失うことと、筆者はどっちが大事か判断が逆転していると思うのです。

このように言う人の子どもが戦場に行かなければならなくなったとき、親は立派に戦ってきなさいと子供に告げるのでしょう。「放射能ごときで」ではなく「国の方針だから」?

このような個人生活の保守性をはじめとして、自民党政治を支える要因は多いです。特に核利用に関連して、あるいは重電メーカーの関係で生活を維持している人達は必死でしょう。自分たちの人並み以上の生活が脅かされていることは、肌で感じるものになっていて、それを回避する策を保守党に講じさせたいと考えるのは自然の成り行きです。

それゆえ、筆者は原発廃止も再稼動の見送りも、安保法案の廃案も容易でないと考えています。社会の一部にものすごい痛みが生ずるからです。そして、自分の痛みを軽減するために他人の痛みは見ない、見えない、それが日本人です。

マスコミの幹部が、総理大臣としばしば会食しています。買収されているという面はもちろんありますが、マスコミ関係者は会食の席につかなければ、政権中枢が何を考えているかは探れないと言う面も大きいと考えます。おそらく、会食の間、政権の真の狙いが、狂人の頭の中が見えてきて、酔う暇も無いほどに驚き、かつ戦慄させられる楽しい時間を過ごしているでしょう。

新聞記者などは、そういう話や場が大好きですし、それ以外に今やマスコミがネットに比べて優位性を保っている面はありません。

これから日本は混乱が深まります。奇形児、障害者の増加、医療難民、死亡者の急増、稼得能力の喪失、遺児の増加・・・。

このような社会になると、強圧的な統治機構が現れます。ファシズムへの傾斜です。社会的なセーフティネットの削減はその一歩です。

世の中の混乱や不幸の蔓延が眼に見えてくる前に抑圧システムを作り上げてしまうという目論見があるように感じています。

同胞が多数死ぬことに慣れる、なんとも感じないような精神構造になれた人は幸せなのかも知れません。ですが、他人の不幸が自分の不幸になったとき、人生設計は崩壊します。

そのときどんな社会になるのか、それを見届けないうちは死ねません。
posted by ZUKUNASHI at 10:53| Comment(4) | 福島原発事故
この記事へのコメント
なんか、もの凄く納得しました。

印字して知り合いに見せたいです。

印字して人に見せるときの必要な要件が有れば教えてください。
Posted by いまりん at 2015年07月21日 13:30
ご自由にお使いください。著作権主張しません。これをもとに改変、追加もご自由に。
年配の方は、同じように分かっている人多いと思います。
Posted by ずくなし at 2015年07月21日 13:38
この記事とっても良いです!!何回も読み返したいと思います。

「やっぱりか」と思った今日の発見です。私個人に関係していることなのですが。

平成22年の国籍離脱者数:180 → 平成26年:603

http://www.moj.go.jp/MINJI/toukei_t_minj03.html
Posted by H.K at 2015年07月21日 19:48
日本の将来は、全体主義放射能地獄の貧困発狂社会です。面白い国になります。日本語は、すばらしい。
Posted by 西 亨 at 2015年07月22日 08:11
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