ならば、逆転の発想。累積被曝量が死亡数に影響するわけだから、死亡数の変化をとらえれば、累積被曝量を推測するてがかりになるかもしれない。
次の表は、全国人口動態統計から、福島第一原発事故前と後の一定期間について死亡数の合計を出して変化率を見たものだ。死亡率で計算したほうが良いが、まずは使えるかどうか。精密に計算する価値があるならば、改めてやればよい。

Aは、2010年年間の死亡数で2011/1〜2014/9の死亡数合計を割ったもの。東日本大震災による津波の被害者が含まれる。宮城県、岩手県、次いで長野県、埼玉県、神奈川県、千葉県。長野県、埼玉県が上位に来ているのは想定外だ。神奈川も千葉より悪い。
Bは、2010年年間の死亡数で2011/4〜2014/9の死亡数合計を割ったもの。津波の被害者については、登録が遅れたため宮城県、岩手県の上位は変わらないものの、2011/3を外すだけで茨城と福島は死亡数が相対的に大きく減り、順位が下がる。原因は難しいが、2011/3に亡くなった方が相対的に多かったということになろうか。
Cは、2010年年間の死亡数で2012/1〜2014/9の死亡数合計を割ったもの。津波災害の影響が少なくなる。宮城県、福島県か下位に来ているのは人口減の影響と見られるが、精査を要する。上位には埼玉、神奈川が来ており、人口自然増変化指数ではこれらの地域の出生数が高水準で推移しているために目立たなかったが、実態は悪いことがわかる。

Dは、2014年11月22日 「福島第一原発事故による被曝で死ぬ人が増えるのはこれからだ」に掲げた死亡率差。直近1年間の変化を示す。埼玉、神奈川、千葉の死亡増の傾向は続いていることがわかる。注目されるのは宮城県。ここに来て人口動態が悪化を見せており、大変懸念されるところとなっている。
2014年11月07日 MIYAGIは人口自然増悪化でも無策を貫き歴史に名を残す 人類衰亡の先駆データとなるか
ちょっと予想外の結果に驚いている。
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もう少し狭い区域で死亡率を用いて分析しようとしたが、データの制約があり、うまくいかなかった。
代わりに、人口自然増変化指数の計算に用いている6か月ごとの死亡数計を用いて、2012年年間と2013/10から2014/9の12ヶ月間の死亡数を比較して見た。死亡数伸び率1.03以上の小選挙区。
山形2区米沢市などが1.23と突出している。山形県は死亡数の時系列変化が滑らかでないところもあり、避難者の出入りなどで数字がぶれているのかも知れない。もう一つの可能性としては、避難者の中に亡くなる方がおられるのではないかということ。ごく最近の情報だが、米沢市は救急車の出動が多いと言う。
埼玉県下の小選挙区の数が多い。県別のランキングと整合する。埼玉県下の方は警戒を強めたほうが良い。大気汚染観測用ろ紙の分析結果から、2011/3に埼玉県下でセシウム濃度の高い時間が続いたことが明らかになっている。

神奈川県では川崎市の宮前区が上位に来ている。川崎市も例外でないことが分かる。
宮城県は二つの小選挙区。茨城県は3区と7区が顔を出している。東京都は8つの小選挙区、青梅、八王子、日野市、足立、江戸川、江東と注目どころはしっかりと入っている。
この方法は有効なようだ。もう少し精緻化が必要だ。