関東にはウラン232が満遍なく降っている 米国による土壌調査ではウラン238よりウラン232が多い: ずくなしの冷や水

2014年07月09日

関東にはウラン232が満遍なく降っている 米国による土壌調査ではウラン238よりウラン232が多い

私は、自分のフィールドワークによって、関東一円にベータ線核種が降下しているとの見方を強めている。茨城県稲敷郡で地上高に応じた空間線量率を測定した方と同様な方法で自宅近くのマイクロホットスポットを測定したが、ほぼ同様な結果が得られた。

しかし、そのベータ線核種が何かが分からない。1年前に検討した米国による土壌調査結果をもう一度見てみる。

米国による土壌調査で、ウラン、ストロンチウム、プルトニウムを測定しているのは6箇所のサンプルだけのようだ。下の表は、その6箇所の測定結果。他の箇所のサンプルで測定値がある核種をすべて掲げてある。


このうちから福島第一原発以南のある程度離れた箇所を取り出し、ストロンチウムとウランのみを表示。


グラフにすると、ウラン232がウラン238より格段に多く、しかもいわき市から御殿場市までほぼ同じ濃度を示している。



ウラン232がいかなる性質を持つのか調べたが、ネット上での情報は少なく、核反応生成物で、高速増殖炉で大量に生じとの記述が目立つ。今でも使用済み核燃料に含まれていてその分離、処理が難題の物質らしいことしか分からなかった。

次のサイトが最も詳しかったので、ウラン234に関する部分とともに、一部引用させてもらう。

高速増殖炉・・獲らぬタヌキの皮算用 新エネルギー基本計画のパブコメ・めも 第9節、1、(2) [使用済核燃料、再処理、廃棄]

ウラン232は半減期約69年でα線をだし崩壊してトリウムTh228に変る。トリウムTh228は半減期約1.9年で崩壊しタリウムTl208など高いエネルギーのγ線を放出する娘核種に生成する。トリウム228の後の半減期は最長でもラジウム224の約3日15時間だからトリウムTh228の量、割合が重要である。このトリウムTh228の濃度は約10年後〜60年後の間に高原状態になっている。回収ウランの濃度では、回収ウランの線量率が1年で約10倍、10年で約30倍に上昇(ビルドアップ)する。その高線量率が数十年継続する。トリウムTh228濃度で見ると、線量率が約10倍になる1年後の濃度に戻るのは約100年後。

ウラン234は天然ウランには0.0053%だが、放射能割合では天然ウランの約49%をしめる強い放射能である
。濃縮工程(遠心分離法・4.5%)で約0.037%になる。それが回収ウランに移行している。原燃によれば天然ウランに比べ濃度が高いウラン234は「娘核種はガンマ線が強く、転換、濃縮、燃料加工などの工程で遮蔽が必要となり、これらの工程費用を増加」させる。

ウラン232に関する記述がネット上に少ないのは、原発推進サイドにとって使用済み燃料問題のコアとなる難題の一つに他ならないからなのだろう。

東京近辺でウラン238を検出したという市民発の情報が多いが、これらの多くは個人用測定器の高機能版で核種分別ができる機械によるものが多いようだ。

ガンダーセン氏が東京タワー近くの20階の部屋のエアコンフィルターに付着したチリを分析し、
・セシウム134/Cesium134: 42,000 Bq/Kg
・セシウム137/Cesium137: 68,000Bq/Kg
・鉛210/ Lead210: 7,500Bq/Kg
・ウラン238/Uranium238: 3,000Bq/Kg
・ウラン235/Uranium235: 240Bq/Kg
などが検出されたと報告しているが、ここにはウラン232はない。

井出川河口で発見された高線量物質についての分析結果や学者が土壌を分析した結果にもウランはない。


ただ、市民が柏市松葉町で調査した結果には、地面からの高1.2メートルで
• 191 keVの、LEU (低濃縮ウラン)= 180カウント
• 594 keVのCS- 134 = 221カウント
• 655 keVのCS- 137 = 208カウント
が検出されており、セシウム137に近い低濃縮ウランのカウント数になっている。

どれもいまひとつ分からないが、米国の土壌調査結果によれば、関東一円にウランが降下していることは間違いない。

参照記事・関連記事
「日立・鹿島沖 真いわしからセシウムよりも多いウランの娘核種(2種類)が検出」どんな娘達か調べてみました。

米国による土壌調査から 劣化ウラン ウラン238


Gross Betaでは分からない 各地の土壌中 核種構成

黄色い粉末状物体はなお正体不明
posted by ZUKUNASHI at 13:50| Comment(0) | 福島原発事故
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